美味しいとろみ茶を目指すために、私が気をつけていること(茶葉選び編)

最終更新日:2022年5月1日 


 こんにちは。

 寒い日が続いており、新型コロナウイルスに関してもオミクロン株が流行り続けていますね。東京では連日20,000人前後感染者が出ています。

 みなさん、引き続きお体には充分お気をつけてください!


 さて、今日は通常のとろみ茶紹介をお休みし、私がとろみ茶を作る上で気をつけていることについてお話したいと思います。

 題して「美味しいとろみ茶を目指すために、私が気をつけていること」。

 第1回目は、茶葉選びについてお話します。

 今回私がお話する内容の殆どは、茶業関係者の方や、普段からお茶をこよなく愛していらっしゃる方にとっては、よくご存知のものかと思います。むしろ内容に物足りなさを感じさせてしまうかもしれません。

 ただ、私としては、以前病院でリハビリ業務をしていた頃といいますか、お茶について学ぶ前は、恥ずかしながら知らなかったことだったんです。なので、私自身の復習も兼ねて、以下に茶葉の選び方に関して気をつけていることについて書いていきます(*・∨・*)


茶葉選びのポイント

 お茶を急須やティーポットで淹れる場合、茶葉選びのポイントは、大きく分けて4つあるのかなと個人的に考えております。1.賞味期限、2.形・大きさ、3.色・艶、4.香り、といったところです。以下にもう少し詳しく書いていきます。

ポイント1.賞味期限

 たとえ細かなチェックポイントは疎かになったとしても、最低ラインとして賞味期限には気をつけています。

 良い茶葉ほど大切にしまいこんでしまう気持ちが強くなるものです。ただ、鮮度はお茶の味や香りにとって命です。思い切って封を開け、早いうちに飲み切るようにしています。

 また、お茶の大敵は、高温、湿気、光です。茶葉は6~7%ほどの水分しか含んでおらず、湿気の多い場所だと湿気を吸い、風味が落ちてしまうこともあります。このため、密閉できる容器に入れ、涼しくて暗い場所に保管すると良いとされています。

ポイント2.形・大きさ

【緑茶の場合】

 普通煎茶や玉露であれば、細く撚れていて、剣先が含まれているものを選ぶようにしています(※剣先とは、撚れて針のように細くなった茶芽の芯のこと)。ただこれはあくまでも普通煎茶や玉露の場合です。深蒸し煎茶であれば粉が多くなり、玉緑茶であれば勾玉状に茶葉がカールしていますが、それらは問題ないとされています。

【烏龍茶の場合】

 茶葉がころんと丸まっているものの場合、「均質」であるかどうかを見ます。水分が抜けすぎたり火が通りすぎている茶葉がないか、逆に水分が抜けきらなかった茶葉がないかをチェックします。そのような茶葉を除いて淹れると味わいが良くなります。茶葉が丸いタイプでないものの場合は、細く撚れていて、形が不揃いでなく、粉っぽくないという点をチェックしています。

【紅茶の場合】

 紅茶に関しては、基本的には細く撚れていて、大きさが揃っているか否かを見ます(一部例外あり。CTC等)。ちなみに、紅茶の世界ではオレンジ・ペコー(OP)やブロークン・オレンジ・ペコー(BOP)等というようにグレード分けがなされていますが、これらは茶葉の大きさの単位のことで、紅茶品質の良し悪しを表現しているものではありません。

ポイント3.色・艶

【緑茶の場合】

 普通煎茶や玉露の場合、濃い緑色で表面に艶があるかを見ます。深蒸し煎茶は、やや飴色がかっており、粉が多いため光沢のある葉が少なくなります。

【烏龍茶の場合】

 烏龍茶に関しては、発酵の度合いによって茶葉の色合いが異なってくるので、一概に茶葉の色合いで判断するのは難しいのかなと個人的には思っています。

【紅茶の場合】

 基本的には、赤銅色で艶があるかを見ます。ただし、産地によっては例外があります。例えば、ダージリン・ファーストフラッシュやヌワラエリヤは青っぽさも含まれます。また、ゴールデンチップという、芯芽の外側についている白い産毛が発酵した紅茶液に染まって金色に光った状態のものも例外です。

ポイント4.香り

【緑茶の場合】

 普通煎茶の場合は、爽快な若芽の香りや、新鮮な香りがするかどうかをチェックします。ただしこれは普通煎茶の場合であり、深蒸し煎茶になると香りは弱くなりますし、ほうじ茶の場合は香ばしさが出てきます。また、フレーバードティーですと、そのフレーバー独特の香りも加わってくるかと思います。

【烏龍茶の場合】

 茶葉の香りとは思えないような、花や果実のような甘い香りがするかをチェックします。他の食品とは違う、烏龍茶ならではの大きな特徴かと思います。

【紅茶の場合】

 フレーバードティーか否か、その紅茶の産地の標高がどのぐらいだったか、茶葉が中国種かアッサム種か等によって香り方が違うため、一言で「このポイントがあればOK」と表現しきれないのかなというのが正直なところです。参考までに、中国種ですと繊細でデリケートな香りがしますし、アッサム種ですとコクのある濃厚な香りとなる傾向があると思います。


 少し長くなってしまいましたが、以上が今のところ基本的に私の実践している茶葉の選び方となります。ただ、上記に該当しない状況であっても、美味しく淹れられる茶葉はあります。

 とろみ茶に限らず、一般的なお茶を美味しく飲む為にも使える技であると思っております。もしよろしければ、ご参考いただければ幸いです(*・∨・*)

 今後は折を見て、美味しいとろみ茶に近づくための淹れ方や環境調整等についてもお話していけたらいいなと考えております!


【参考文献】

・大森正司・阿南豊正・伊勢村護・加藤みゆき・滝口明子・中村羊一郎編集:『茶の事典』,朝倉書店,2017

・NPO法人日本茶インストラクター協会 企画・編集:『日本茶のすべてがわかる本』,農山漁村文化協会,2008

・有本香:『お茶の愉楽 中国茶・台湾茶』,池田書店,2003

・Cha Tea紅茶教室:『紅茶 世界のティータイム』,河出書房新社,2017

・日本紅茶協会:『紅茶の大事典』,成美堂出版,2020